自社工場で印刷から加工まで一貫して行っている福永紙工(東京都立川市錦町)の創業は1963年。
注文を受けて、紙製品を作り、納品するというそれまでの仕事が大きく変わったのは2006年のことでした。
紙をデザインするという新たな試みに挑戦し、変貌を遂げた会社の“今”を取材しました。
コンセプトは「紙を道具に」
昔ながらの印刷工場の隣にあるのが自社製品を展示、販売している福永紙工製品販売店。

店内には社外デザイナーとタッグを組んで手掛けた作品がずらりと並んでいます。主力製品であり、最も目を引くのが「空気の器」。
細くカットされた紙が網状に加工されており、広げたり、伸ばしたり、自在に形づくることができます。



天井から下げてオブジェに、花瓶やワインを包むなど使い方はさまざま。
これこそが2006年に同社が立ち上げた「かみの工作所」というプロジェクトから生まれた製品で、トラフ建築設計事務所がデザインを手掛けました。
「斬新な発想に当時、職人たちも戸惑うこともありましたが、持てる技術と経験を元に要望に応えてくれるようになりました」と広報の竹田夢子さん。
デザインと技術が切磋琢磨し、以降も次々に新作が生まれていきました。
色とカッティング
福永紙工の製品の魅力は多彩な色を表現できる印刷技術、形を自在に作ることができるレーザーカットなど。
それを代表するのが建築家・寺田尚樹さんとの協働プロジェクト「テラダモケイ」です。

そのテーマは“日常の風景を切り取る”。
11㌢×18㌢程度の紙に精密にカットされた小さな人型や景色を組み立てることで、物語が生まれてくるのです。
販売店が開くのは月に2回ですが、遠方からも“紙好き”の人がやってくるそう。
「ひそかに人気なのがこれです」と竹田さんが見せてくれた小さな箱には製造過程で出た紙の切れ端がぎっしり。

美しく裁断され、色のバリエーションが豊富な「紙の端材」の使い方はいろいろ。
紙は自由で、その可能性は無限と感じさせてくれます。


